この大会における勝利チームは以下の通りである.
前年の大会とは異なり,この年にはエージェントの低レベルスキルに関して明らかな格差はどのチームにも見られなかった.上位3チームによる 試合はみな極めて接戦であり,最も注目すべき点は戦略的なチームレベルの違いであった.
この大会におけるある興味深い結果は,前年の優勝チームが最小限の修正だけで出場したことで,トーナメントの中盤ほどで脱落してしまったことであった. この事実は,前年よりも全体的に出場チームが強くなったことの裏付けとなった.実際に,おおよそ半数のチームもが前年の優勝チームに勝ってしまったの である.
また,この年の scientific challenge award はシミュレーションリーグのための完全自動解説者システムを開発したとして,電子技術総合研究所(現在は 産業技術総合研究所に統合),ソニーコンピュータサイエンス研究所,そして GmbH DFKI (ドイツ人工知能研究センター)に授与された.
RoboCup による研究結果が科学の世界全体へと広く伝わることを促進させるため,RoboCup-98 にて Multi-Agent Scientific Evaluation Session が初め て催された.このセッションには13チームが参加し,チームメンバーの欠落に対する適応能力が比較・評価された.各チームは RoboCup 公式ルールに基づいて同じ 敵チーム (the 1997 winner, AT Humboldt'97) と4回ハーフゲームを行った.最初のハーフゲーム (phase A) を基準とし,続く3回のハーフゲーム (phases B-D) では徐々に1名ずつ,計3名のプレーヤが無効にされていった.この無効化されるプレーヤは順に,ランダムに,敵チームの代表によって最も大きな損害を与えること の出来るように選択され,最後の1名はゴールキーパが選択された.この試みは,「より適応的なチームがこのような状況によりうまく対応できるであろう」という考 えのもとに行われた.
結果として非常に早い段階で,つまりこのセッション中にあることが明らかになった.それは,実のところほとんどの参加者が直感的に評価手続きに同意していたにも関わらず, 定量的に,または定性的にでさえも得られた結果をどのように分析すればよいかがやはり明確でないということであった.最も明確であると思われる各ハーフ終了時における得 失点差という測定基準は十分ではないかもしれない.なぜなら,プレーヤ数が減っていくことで性能が上がるチームもあれば,そうでないチームもあるからである.得失点差に よって評価される性能はチームの違いだけでなく,phase (プレーヤを減らしていく段階)間でも実に変化する.それゆえ,評価方法論および結果の分析がそれ自体で未確定な研 究問題となった.この一連の研究を促進するため,評価データが http://www.isi.edu/~galk/Eval/ にて公開された.