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シミュレーションリーグ

RoboCup シミュレーションリーグはサッカーサーバ [#!noda1997:overview!#] と呼ばれる RoboCup シミュレータ に基づいている.これにより物理的サッカー環境がシミュレートされる.全ての試合はサッカーモニタによってスクリーン 上へとシミュレータのフィールドを表示することで視覚化される.サッカーサーバは不確実なマルチエージェント環境に おいて,複数の仮想サッカープレーヤ間での試合に対応するよう作成されている.そこでは,実時間処理や半構造な状態が 要求される.サッカーサーバの利点のひとつは抽象化である.これにより研究者は,物体認識 [#!lanser1997:objrec!#], コミュニケーション,どうやってロボットを動かすかといったハードウェアに関する問題など,実ロボットを扱うことで 生じる問題から開放される.この抽象化により,研究者は強調や学習といったより高レベルなテーマに取り組むことが出来る.

サッカーサーバの与える環境は困難な(だが面白い)ものである,すなわち,プレーヤの意思は機械的には推論されることは 不可能であるので,サッカーの試合を行う上で審判が必要である.サッカーサーバに組み込まれている人工的な審判は部分 的に実装されているだけであり,いつチームが得点を入れたかといった自明な状況を検出することが出来る.しかしながら, サッカーサーバには膠着状態などの人間の審判を要するような発覚されにくい状況が存在する.参加する全てのチームはまた, ズルいことはしないなどの紳士協定に従ってプレイすることが義務づけられている.

第一弾のサッカーサーバは1995年に完成したため,これまで(この英語版マニュアルが発行されるまで)にその他全ての RoboCup 関連のイベントは言うまでもなく,4回の世界大会と1回の世界大会の予行演習的イベントが開催されている.1996年の pre-RoboCup 大会 [#!PreRoboCup96-proceedings!#] は大阪で開催された.この大会の参加チーム数はわずか7チームであり,東京大学の Ogalets というチームが勝利した.翌年には名古屋にて,IJCAI'97 という学会と併設して,第一回目の公式大会が開催された. 29チームが試合に参加し,優勝チームは AT Humboldt [#!burkhard1997:athumboldt!#]であった.1998年の世界大会は本来の 人間によるワールドカップに合わせてパリにて開催され,優勝チームは CMUnited98 [#!stone1998:td!#]であった.世界大会は パリの郊外にあるミュージアムにて一般公開にて開催されていたので,開催中メディアは大会を大々的に報道した.次の年,ストック ホルムにて世界大会は IJCAI'99 と合同開催され,優勝チームはまたしても CMUnited99 [#!stone1999:td!#] であった. 優勝チームは,優勝時から何の変更もされずにベンチマークとして次回の世界大会に出場しなくてはいけない.これらのベンチマーク チームは常にグループ内のチームに勝っているのだが,2000年にはグループ戦の後にはじめの試合よりもさらに躍進した.



2005-08-05