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15.1. os — 雑多なオペレーティングシステムインタフェース

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15.3. time — 時刻データへのアクセスと変換

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15.2. io — ストリームを扱うコアツール

バージョン 2.6 で追加.

io モジュールはストリーム処理を行う Python インタフェースを提供します。組み込み関数 open() はこのモジュールで定義されています。

I/O 階層の最上位には抽象基底クラスの IOBase があります。 IOBase ではストリームに対して基本的なインタフェースを定義しています。しかしながら、ストリームに対する読み込みと書き込みが分離されていないことに注意してください。実装においては与えられた操作をサポートしない場合は IOError を投げることが許されています。

IOBase の拡張は、単純なストリームに対する生のバイト列の読み書きを扱う RawIOBase です。 FileIO は、 RawIOBase を継承してマシンのファイルシステム中のファイルへのインタフェースを提供します。

BufferedIOBase では生のバイトストリーム (RawIOBase) 上にバッファ処理を追加します。そのサブクラスの BufferedWriter, BufferedReader, BufferedRWPair では、それぞれ読み込み専用、書き込み専用、読み書き可能なストリームをバッファします。 BufferedRandom ではランダムアクセスストリームに対してバッファされたインタフェースを提供します。 BytesIO はインメモリバイトへのシンプルなストリームです。

もう一つの IOBase のサブクラスである TextIOBase は、テキストを表すバイトストリームを扱い、文字列のエンコードやデコードといった処理を行います。 TextIOWrapper はその拡張で、バッファされた生ストリーム (BufferedIOBase) へのバッファされたテキストインタフェースです。最後に StringIO はテキストに対するインメモリストリームです。

引数名は規約に含まれていません。そして open() の引数だけがキーワード引数として用いられることが意図されています。

15.2.1. モジュールインタフェース

io.DEFAULT_BUFFER_SIZE

モジュールのバッファ I/O クラスで使用されるデフォルトのバッファサイズを指定する整数値です。 open() は可能であればファイル全体のサイズ (os.stat() で取得されます) を使用します。

io.open(file[, mode[, buffering[, encoding[, errors[, newline[, closefd=True]]]]]])

file を開きストリームを返します。ファイルが開けなかった場合、 IOError が発生します。

file は開きたいファイルの名前 (およびカレントディレクトリにない場合はそのパス) を示す文字列か、開きたいファイルのファイル記述子です。 (ファイル記述子が、たとえば os.fdopen() によって与えられた場合、 closefdFalse に設定されていない限り、返された I/O オブジェクトが閉じられたときにそのファイル識別子も閉じられます)

mode はオプションの文字列です。これによってファイルをどのようなモードで開くか明示することができます。デフォルトは 'r' でテキストモードで読み取り専用で開くことを指します。他にも 'w' は書き込み専用 (もしファイルが存在していた場合は上書きになります) となり、 'a' では追記モードとなります。 ('a'いくつかの Unixシステムでは すべての 書き込みがシーク位置に関係なくファイルの末尾に追記されることを意味します) テキストモードでは、もし encoding が指定されていなかった場合、エンコーディングはプラットフォーム依存となります。 (生のバイトデータの読み込みと書き込みはバイナリモードを用いて、 encoding は未指定のままとします) 指定可能なモードは次の表の通りです。

文字 意味
'r' 読み込み専用で開く (デフォルト)
'w' 書き込み専用で開く。ファイルは最初に切り詰められる。
'a' 書き込み専用で開く。ファイルが存在する場合は末尾に追記する。
'b' バイナリモード
't' テキストモード (デフォルト)
'+' ファイルを更新用に開く (読み込み/書き込み)
'U' ユニバーサルニューラインモード (後方互換性のためのモードで、新規コードでは使用すべきではありません)

デフォルトモードは 'rt' です (テキストを読み込み専用で開きます)。バイナリのランダムアクセスでは 'w+b' はファイルを開き、ファイルを 0 バイトに切り詰めます。一方で 'r+b' でファイルを開くとサイズの切り詰めは行われません。

Python ではバイナリモードで開かれたファイルとテキストモードで開かれたファイルは区別されます。オペレーティングシステムが区別しない場合でもこの区別は適用されます。バイナリモードで開かれたファイル (つまり mode 引数に 'b' が含まれるとき) では、中身を bytes オブジェクトとして返し、一切のデコードを行いません。テキストモード (デフォルトか mode 引数に 't' が含まれている場合) では、ファイルの内容は文字列として返され、バイト列はプラットフォーム依存のエンコーディングか、 encoding が指定された場合は指定されたエンコーディングを使ってデコードされます。

オプションの buffering はバッファ用の設定を行う整数値です。 0 を設定することでバッファがオフになります (バイナリモードでのみ有効です)。 1 の場合は 1 行ごとのバッファリングを行い (テキストモードでのみ利用可能です)、 1 より大きい場合は固定サイズチャンクバッファのサイズを表します。 buffering 引数が与えられなければ、デフォルトのバッファリングポリシーは以下のように働きます:

  • バイナリファイルは固定サイズのチャンクでバッファリングされます。バッファサイズは、背後のデバイスの「ブロックサイズ」を決定するヒューリスティックを用いて選択され、それが不可能な場合は代わりに DEFAULT_BUFFER_SIZE が使われます。多くのシステムでは、典型的なバッファサイズは 4096 か 8192 バイト長になるでしょう。
  • 「対話的な」テキストファイル (isatty() が True を返すファイル) は行バッファリングを使用します。その他のテキストファイルは、上で説明されたバイナリファイルのためのポリシーを使用します。

encoding はファイルをエンコードあるいはデコードするために使われるエンコーディング名です。このオプションはテキストモードでのみ使用されるべきです。デフォルトエンコーディングはプラットフォーム依存ですが、Pythonでサポートされているエンコーディングはどれでも使えます。詳しくは codecs モジュール内のサポートしているエンコーディングのリストを参照してください。

errors はエンコードやデコードの際のエラーをどのように扱うかを指定する文字列です。 'strict' を指定すると、エンコードエラーがあった場合 ValueError 例外が発生します (デフォルトである None は同様の処理を行います)。 'ignore' を指定した場合はエラーを無視します。 'replace' を指定した場合は正常に変換されなかった文字の代わりにマーカ (例えば '?' のような文字) を挿入します。書き込みの際には 'xmlcharrefreplace' (適切なXML文字参照に置き換える) か 'backslashreplace' (バックスラッシュによるエスケープシーケンスに置き換える) のどちらかが使用できます。 codecs.register_error() に登録されている他のエラー処理名も指定できます。

newline ではユニバーサルニューラインの挙動を制御しています (テキストモードのみ有効です)。 None'''\n''\r''\r\n' が指定できます。以下のように動作します:

  • 入力時、 newlineNone の場合はユニバーサルニューラインモードが有効になります。入力行の行末は '\n''\r''\r\n' のいずれかで、それらは呼び出し元に戻される前に '\n' に変換されます。もし '' だった場合はユニバーサルニューラインモードは有効になりますが、行末は変換されずに呼び出し元に戻されます。他の適切な値が指定された場合は、入力行は与えられた文字列で分断され、行末は変換されずに呼び出し元に戻されます。
  • 出力時、 newlineNone の場合は、すべての '\n' 文字はシステムのデフォルト行区切り文字 os.linesep に変換されます。もし newline'' の場合、変換は起こりません。もし newline に他の適切な値が指定された場合は、 '\n' 文字は与えられた文字に変換されます。

もし closefdFalse で、ファイル名ではなくてファイル記述子が与えられていた場合、処理中のファイル記述子はファイルが閉じられた後も開いたままとなります。もしファイル名が与えられていた場合は、 closefd は関係ありません。しかし True でなければなりません。(デフォルト値)

open() によって返されるファイルオブジェクトの型はモードに依存します。 open() がテキストモードでファイルを開くために使われた場合 ('w''r''wt''rt' など) TextIOWrapper が返されます。バイナリモードでファイルを開く場合、返される値は多様です。もし読み取り専用のバイナリモードだった場合は BufferedReader が返されます。書き込み専用のバイナリモードだった場合は BufferedWriter が返されます。読み書き可能なバイナリモードの場合は BufferedRandom が返されます。

文字列やバイト列をファイルとして読み書きすることも可能です。文字列では StringIO を使えばテキストモードで開いたファイルのように扱えます。バイト列では BytesIO を使えばバイナリモードで開いたファイルのように扱えます。

exception io.BlockingIOError

非ブロッキングストリームでブロック処理が起きた場合に発生するエラーです。 IOError を継承しています。

IOError で持っている属性以外に BlockingIOError では次の属性を持っています。

characters_written

ブロック前にストリームに書き込まれる文字数を保持する整数値です。

exception io.UnsupportedOperation

IOErrorValueError を継承した例外で、ストリームに未サポートの操作が行われた場合に発生します。

15.2.2. I/O 基底クラス

class io.IOBase

すべての I/O クラスの抽象基底クラスです。バイトストリームへの操作を行います。パブリックなコンストラクタはありません。

このクラスでは、継承先のクラスが選択的にオーバライドできるように多くの空の抽象実装が提供されます。デフォルトの実装では、読み込み、書き込み、シークができないファイルを表現します。

IOBase では read(), readinto(), write() が宣言されていませんが、これはシグナチャが変化するためで、実装やクライアントはこれらのメソッドをインタフェースの一部として考えるべきです。また、実装はサポートしていない操作を呼び出されたときは IOError を発生させるかもしれません。

ファイルへの読み書きに用いられるバイナリデータに使われる基本型は bytes です。 bytearray も利用可能で、いくつかのケース (たとえば readinto) では必須です。テキスト I/O クラスは str データを扱います。

閉じられたストリームに対するメソッド呼び出しは (問い合わせであっても) 未定義です。この場合、実装は IOError を発生させることがあります。

IOBase (とそのサブクラス) はイテレータプロトコルをサポートします。すなわち IOBase オブジェクトはストリーム内の行を yield を使ってイテレートすることができます。

IOBase はコンテキストマネージャでもあります。そのため with 構文をサポートします。次の例では、 with 構文が終わった後で—たとえ例外が発生した場合でも、 file は閉じられます。

with open('spam.txt', 'w') as file:
    file.write('Spam and eggs!')

IOBase は以下のデータ属性とメソッドを提供します:

close()

このストリームをフラッシュして閉じます。このメソッドはファイルが既に閉じられていた場合は特に何の効果もありません。いったんファイルが閉じられると、すべてのファイルに対する操作 (例えば読み込みや書き込み) で ValueError が発生します。

利便性のために、このメソッドを複数回呼ぶことは許可されています。しかし、効果があるのは最初の1回だけです。

closed

ストリームが閉じられていた場合 True になります。

fileno()

ストリームが保持しているファイル記述子 (整数値) が存在する場合はそれを返します。もし IO オブジェクトがファイル記述子を使っていない場合は IOError が発生します。

flush()

適用可能であればストリームの書き込みバッファをフラッシュします。読み込み専用や非ブロッキングストリームでは何もしません。

isatty()

ストリームが対話的であれば (つまりターミナルや tty デバイスにつながっている場合) True を返します。

readable()

ストリームが読み込める場合 True を返します。 False の場合は read()IOError を発生させます。

readline([limit])

ストリームから 1 行読み込んで返します。もし limit が指定された場合、最大で limit バイトが読み込まれます。

バイナリファイルでは行末文字は常に b'\n' となります。テキストファイルでは、認識される行末文字を選択するために open() に対する newlines 引数が使われます。

readlines([hint])

ストリームから行のリストを読み込んで返します。 hint を指定することで、読み込む行数を制御できます。もし読み込んだすべての行のサイズ (バイト数、もしくは文字数) が hint の値を超えた場合、読み込みをそこで終了します。

seek(offset[, whence])

ストリーム位置を指定された offset バイトに変更します。 offsetwhence で指定された位置からの相対位置として解釈されます。 whence に指定できる値は:

  • 0 – ストリームの先頭 (デフォルト)。 offset は 0 もしくは正の値でなければなりません。
  • 1 – 現在のストリーム位置。 offset は負の値も可能です。
  • 2 – ストリームの末尾。 offset は通常負の値です。

新しい絶対位置を返します。

seekable()

もしストリームがランダムアクセスをサポートしていた場合 True を返します。 False の場合は seek()tell()truncate()IOError を発生させます。

tell()

現在のストリーム位置を返します。

truncate([size])

指定された size バイト (または size が指定されなければ現在の位置) にストリームをリサイズします。現在のストリーム位置は変更されません。このリサイズは、現在のファイルサイズを拡大または縮小させることができます。拡大の場合には、新しいファイル領域の内容はプラットホームに依存します (ほとんどのシステムでは、追加のバイトが 0 で埋められます。 Windowsでは不定です)。新しいファイルサイズが返されます。

writable()

ストリームが書き込みをサポートしている場合 True を返します。 False の場合は write()truncate()IOError を返します。

writelines(lines)

ストリームに複数行書き込みます。行区切り文字は付与されないので、通常書き込む各行の行末には行区切り文字があります。

class io.RawIOBase

生のバイナリ I/O への基底クラスです。 IOBase を継承しています。パブリックコンストラクタはありません。

IOBase の属性やメソッドに加えて、 RawIOBase は次のメソッドを提供します:

read([n])

EOF まで、あるいは n が指定された場合 n バイトまでストリームからすべてのバイトを読み込んで返します。システムコール呼び出しが一度だけ行われます。既に EOF に達していたら空のバイトオブジェクトが返されます。もしオブジェクトがブロックされず読み込むべきデータがない場合は None が返されます。

readall()

EOF までストリームからすべてのバイトを読み込みます。必要な場合はストリームに対して複数の呼び出しをします。

readinto(b)

bytearray b に最大 len(b) バイト分読み込み、読み込んだバイト数を返します。

write(b)

与えられた bytes または bytearray オブジェクト b を生ストリームに書き込み、書き込んだバイト数を返します (これは決して len(b) よりも小さくなることはありません。なぜなら、もし書き込みに失敗した場合は IOError が発生するからです)。

class io.BufferedIOBase

バッファリングをサポートするストリームの基底クラスです。 IOBase を継承します。パブリックなコンストラクタはありません。

RawIOBase との主な違いは read() メソッドが size 引数の省略を許し、 readinto() に従うデフォルト実装を持たないことです。

さらに、元になる生ストリームが非ブロッキングモードでかつ準備ができていない場合に、 read()readinto()write() が、 BlockingIOError を送出するかもしれません。対応する”生”バージョンと違って、 None を返すことはありません。

通常の実装では RawIOBase 実装を継承せずに、 BufferedWriterBufferedReader のようにラップすべきです。

BufferedIOBaseIOBase からのメソッドに加えて、以下のメソッドを提供もしくはオーバーライドします:

read([n])

最大で n バイト読み込み、返します。引数が省略されるか、 None か、または負の値であった場合、データは EOF に到達するまで読み込まれます。ストリームが既に EOF に到達していた場合は空の bytes オブジェクトが返されます。

引数が正で、元になる生ストリームが対話的でなければ、必要なバイト数を満たすように複数回の生 read が発行されるかもしれません (先に EOF に到達しない限りは)。対話的な場合は、最大で一回の raw read しか発行されず、短い結果でも EOF に達したことを意味しません。

元になる生ストリームが呼び出された時点でデータを持っていなければ、 BlockingIOError が送出されます。

readinto(b)

bytearray b に最大 len(b) バイト読み込み、何バイト読んだかを返します。

read() と同様、元になる生ストリームが対話的でない限り、複数回の read が発行されるかもしれません。

元になる生ストリームが呼び出された時点でデータを持っていなければ、 BlockingIOError が送出されます。

write(b)

与えられた bytes または bytearray オブジェクト b を元になる生ストリームに書き込み、書き込んだバイト数を返します (これは決して len(b) よりも小さくなることはありません。なぜなら、もし書き込みに失敗した場合は IOError が発生するからです)。

バッファが満杯で元になる生ストリームが書き込み時点でさらなるデータを受け付けられない場合 BlockingIOError が送出されます。

15.2.3. 生ファイルI/O

class io.FileIO(name[, mode])

FileIO はバイトデータを含むファイルを表します。 RawIOBase インタフェースを (したがって IOBase インタフェースも) 実装しています。

mode はそれぞれ読み込み (デフォルト)、書き込み、追記を表す 'r''w''a' にすることができます。ファイルは書き込みまたは追記モードで開かれたときに存在しなければ作成されます。書き込みモードでは存在したファイル内容は消されます。読み込みと書き込みを同時に行いたければ '+' をモードに加えて下さい。

IOBase および RawIOBase から継承した属性とメソッドに加えて、 FileIO は以下のデータ属性とメソッドを提供しています:

mode

コンストラクタに渡されたモードです。

name

ファイル名。コンストラクタに名前が渡されなかったときはファイル記述子になります。

read([n])

最大で n バイト読み込み、返します。システムコールを一度呼び出すだけなので、要求されたより少ないデータが返されることもあります。実際に返されたバイト数を得たければ、返されたバイトオブジェクトに対して len() を使って下さい。 (非ブロッキングモードでは、データが取れなければ None が返されます。)

readall()

ファイルの全内容を読み込み、単一のバイトオブジェクトに入れて返します。非ブロッキングモードでは直ちに取得できる限りのものが返されます。 EOF に到達すると、 b'' が返されます。

write(b)

与えられたバイトあるいはバイト列オブジェクト b をファイルに書き込み、実際に書き込まれたバイト数を返します。システムコールを一度呼び出すだけなので、データの一部だけが書き込まれることもあります。

FileIO オブジェクトでは、継承された readinto() メソッドを使うべきではない、ということを忘れないで下さい。

15.2.4. バッファ付きストリーム

class io.BytesIO([initial_bytes])

インメモリの bytes バッファを利用したストリームの実装。 BufferedIOBase を継承します。

引数 initial_bytes は省略可能な bytearray の初期値です。

BytesIOBufferedIOBase または IOBase からのメソッドに加えて、以下のメソッドを提供もしくはオーバーライドします:

getvalue()

バッファの全内容を保持した bytes を返します。

read1()

BytesIO においては、このメソッドは read() と同じです。

class io.BufferedReader(raw[, buffer_size])

読み込み可能でシーケンシャルな RawIOBase オブジェクトのバッファです。 BufferedIOBase を継承します。

このコンストラクタは与えられた raw ストリームと buffer_size に対し BufferedReader を生成します。 buffer_size が省略された場合、代わりに DEFAULT_BUFFER_SIZE が使われます。

BufferedReaderBufferedIOBase または IOBase からのメソッドに加えて、以下のメソッドを提供もしくはオーバーライドします:

peek([n])

1 (または指定されれば n) バイトをバッファから位置を変更せずに読んで返します。これを果たすために生ストリームに対して行われる read はただ一度だけです。返されるバイト数は最大でもバッファの現在の位置から最後までのバイト列なので、要求されたより少なくなるかもしれません。

read([n])

n バイトを読み込んで返します。 n が与えられないかまたは負の値ならば、EOF まで、または非ブロッキングモード中で read 呼び出しがブロックされるまでを返します。

read1(n)

生ストリームに対しただ一度の呼び出しで最大 n バイトを読み込んで返します。少なくとも 1 バイトがバッファされていれば、バッファされているバイト列だけが返されます。それ以外の場合にはちょうど一回生ストリームに read 呼び出しが行われます。

class io.BufferedWriter(raw[, buffer_size[, max_buffer_size]])

書き込み可能でシーケンシャルな RawIOBase オブジェクトのバッファです。 BufferedIOBase を継承します。

このコンストラクタは与えられた書き込み可能な raw ストリームに対し BufferedWriter を生成します。 buffer_size が省略された場合、 DEFAULT_BUFFER_SIZE がデフォルトになります。 max_buffer_size が省略された場合、バッファサイズの 2 倍がデフォルトになります。

BufferedWriterBufferedIOBase または IOBase からのメソッドに加えて、以下のメソッドを提供もしくはオーバーライドします:

flush()

バッファに保持されたバイト列を生ストリームに流し込みます。生ストリームがブロックした場合 BlockingIOError が送出されます。

write(b)

bytes または bytearray オブジェクト b を生ストリームに書き込み、書き込んだバイト数を返します。生ストリームがブロックした場合 BlockingIOError が送出されます。

class io.BufferedRWPair(reader, writer[, buffer_size[, max_buffer_size]])

読み書きできる生ストリームのための組み合わされたバッファ付きライターとリーダーです。 read() 系、 write() 系メソッド両方ともサポートされます。ソケットや両方向パイプに便利です。 BufferedIOBase を継承しています。

readerwriter はそれぞれ読み込み可能、書き込み可能な RawIOBase オブジェクトです。 buffer_size が省略された場合 DEFAULT_BUFFER_SIZE がデフォルトになります。 (バッファ付きライターのための) max_buffer_size が省略された場合、バッファサイズの 2 倍がデフォルトになります。

BufferedRWPairBufferedIOBase の全てのメソッドを実装します。

class io.BufferedRandom(raw[, buffer_size[, max_buffer_size]])

ランダムアクセスストリームへのバッファ付きインタフェース。 BufferedReader および BufferedWriter を継承しています。

このコンストラクタは第一引数として与えられるシーク可能な生ストリームに対し、リーダーおよびライターを作成します。 buffer_size が省略された場合、 DEFAULT_BUFFER_SIZE がデフォルトになります。 (バッファ付きライターのための) max_buffer_size が省略された場合、バッファサイズの 2 倍がデフォルトになります。

BufferedRandomBufferedReaderBufferedWriter にできることは何でもできます。

15.2.5. テキスト I/O

class io.TextIOBase

テキストストリームの基底クラスです。このクラスはストリーム I/O への文字と行に基づいたインタフェースを提供します。 Python の文字列は変更不可能なので、 readinto() メソッドは存在しません。 IOBase を継承します。パブリックなコンストラクタはありません。

IOBase から継承した属性とメソッドに加えて、 TextIOBase は以下のデータ属性とメソッドを提供しています:

encoding

エンコーディング名で、ストリームのバイト列を文字列にデコードするとき、また文字列をバイト列にエンコードするときに使われます。

newlines

文字列、文字列のタプル、または None で、改行がどのように読み換えられるかを指定します。

read(n)

最大 n 文字をストリームから読み込み、一つの str にして返します。 n が負の値または None ならば、 EOF まで読みます。

readline()

改行または EOF まで読み込み、一つの str を返します。ストリームが既に EOF に到達している場合、空文字列が返されます。

write(s)

文字列 s をストリームに書き込み、書き込まれた文字数を返します。

class io.TextIOWrapper(buffer[, encoding[, errors[, newline[, line_buffering]]]])

BufferedIOBase 生ストリーム buffer 上のバッファ付きテキストストリーム。 TextIOBase を継承します。

encoding にはストリームをデコードしたりそれを使ってエンコードしたりするエンコーディング名を渡します。デフォルトは locale.getpreferredencoding() です。

errors はオプションの文字列で、エンコードやデコードの際のエラーをどのように扱うかを指定します。エンコードエラーがあったら ValueError 例外を送出させるには 'strict' を渡します(デフォルトの None でも同じです)。エラーを無視させるには 'ignore' です。 (注意しなければならないのは、エンコーディングエラーを無視するとデータ喪失につながる可能性があるということです。) 'replace' は正常に変換されなかった文字の代わりにマーカ (たとえば '?') を挿入させます。書き込み時には 'xmlcharrefreplace' (適切な XML 文字参照に置き換え) や 'backslashreplace' (バックスラッシュによるエスケープシーケンスに置き換え) も使えます。他にも codecs.register_error() で登録されたエラー処理名が有効です。

newlineNone'''\n''\r''\r\n' のいずれかです。行末の扱いを制御します。 None では、ユニバーサルニューラインが有効になります。これが有効になると、入力時、行末の '\n''\r''\r\n''\n' に変換されて呼び出し側に返されます。逆に出力時は '\n' がシステムのデフォルト行区切り文字 (os.linesep) に変換されます。 newline が他の適切な値の場合には、ファイル読み込みの際にその改行で改行されるようになり、変換は行われません。出力時には '\n'newline に変換されます。

line_bufferingTrue の場合、 write への呼び出しが改行文字を含んでいれば flush() がそれに伴って呼び出されます。

TextIOBase およびその親クラスの属性に加えて、 TextIOWrapper は以下のデータ属性を提供しています:

errors

エンコーディングおよびデコーディングエラーの設定。

line_buffering

行バッファリングが有効かどうか。

class io.StringIO([initial_value[, encoding[, errors[, newline]]]])

テキストのためのインメモリストリーム。 TextIOWrapper を継承します。

新しい StringIO ストリームを、初期値、エンコーディング、エラーの扱い、改行設定から作成します。より詳しい情報は TextIOWrapper のコンストラクタを参照して下さい。

TextIOWrapper およびその親クラスから継承したメソッドに加えて StringIO は以下のメソッドを提供しています:

getvalue()

バッファの全内容を保持した str を返します。

class io.IncrementalNewlineDecoder

ユニバーサルニューラインモード向けに改行をデコードする補助コーデック。 codecs.IncrementalDecoder を継承します。