概要
影鷹は Apache Ant を利用してビルドします。もし、Ant についてよく分からなければ、インターネットで検索すれば沢山ドキュメントが出てきます。今回はすでに用意されているものをビルドするだけなので、Ant をダウンロードして解凍した後、環境変数 ANT_HOME を設定するだけです。それと、PATH にも通しておいた方が便利でしょう。また、JAVA_HOME が設定されていないと Ant は動かないかもしれません。
ソースを入手した後は、build.properties というファイルを用意する必要があります。それさえ準備できれば、あとは ant コマンドでビルドするだけです。
必要なソフト
影鷹のビルドに必要なソフトは以下のものです。
Ant のオリジナルタスクを利用してコンパイルするので、Ant が無いとビルドできません。Ant のバージョンですが、1.6 で追加された機能を使っているので、1.6 以上でないと動かないので注意してください。また、Ant のタスクで正規表現を利用しているので J2SE SDK の 1.4 以上が必要です(他の正規表現ライブラリを利用したり、build.xml を修正すれば、それ以下でもビルドできるかもしれません)。JDK 1.1 は、コンパイル時の bootclasspath に指定しています。どうしても手に入らない場合は、必要有りません。
さらに、配布パッケージを作るには以下のものも必要です。
.NET Framework SDK、Inno Setup、lha コマンドは、Windows 版の配布パッケージを作成する際に必要です。Windows 用の配布パッケージを作らない場合は必要有りません。.NET Framework SDK は、Microsoft の C コンパイラがあればいいので、VisualStudio 等でも問題有りません。lha コマンドは、WinSFX32M が作成出来る(-gw3 オプション)必要があります。個人的には LHA for Win32 と UNLHA32.DLL を利用しています(これを利用する場合は、ファイル名を lha.exe に変更する必要があります)。
ソースの入手
ソースを入手します。リリースしたパッケージのソースファイルか、CVS リポジトリのいずれからかダウンロードします。CVS についてよく分からない方は、リリースパッケージからダウンロードしてください。
設定
ソースパッケージ(あるいは CVS)をダウンロードし展開した後、ビルドするために必要な設定があります。ソースパッケージを展開したディレクトリ(build.xml のあるディレクトリ)に、build.properties というファイルを作り、その中に JDK 1.1 の classes.zip のパスを指定します。
bootclasspath=/usr/jdk118/lib/classes.zip
build.properties の中に書くのはこの1行だけです。他に指定できるものもありますが、ほとんど指定する必要はありません。詳しくは、build.xml の上の方を調べてみてください。
JDK 1.1 がどうしても手に入らない場合は、ここに classes.zip ではなく、J2SE SDK の rt.jar を指定することも出来ます。場所はたぶん ${JAVA_HOME}/jre/lib/rt.jar です。
ビルド
Ant の設定が終わっていれば、build.xml が有るディレクトリの下で、次のコマンドを実行するとビルドが行われます。
$ ant
ビルドによって作成されるファイルは、すべて out ディレクトリの下に作成されます。クラスファイルは out/build というディレクトリが出来、その中の browser, applet 以下にコンパイルされた class ファイルなどが配置されます。この状態で影鷹ブラウザを起動するには次のようにします。
$ java -cp out/build/browser net.hizlab.kagetaka.viewer.Loader
動作に問題がないようならば、jar ファイルを作成します。あるいは、CVS にある sample/applet.html を利用してアプレットのテストをする場合も jar ファイルを作成する必要があります。
$ ant jar
これで、out/dist 内の lib 以下に jar ファイルが作成されます。
Windows 用の配布パッケージを作る場合には、IEWrapper.dll と kagetaka.exe をビルドする必要があります。src/ext/win32/iew, src/ext/win32/launcher のそれぞれのディレクトリ下で、.NET Framework SDK(あるいは VisualStudio)の nmake を使ってビルドしてください。
Ant ターゲット
影鷹の build.xml で定義されている Ant のターゲットの簡易一覧です。これ以外にもありますが、直接ターゲットと指定指定してもあまり意味のないものです。パスは、build.xml の存在する src ディレクトリからの相対パスです。
ターゲット名 |
効果 |
compile.browser |
影鷹ブラウザに必要なファイルのみをコンパイルします。
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compile.applet |
影鷹アプレットに必要なファイルのみをコンパイルします。
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compile |
デフォルトターゲットで、../build/classes の下にコンパイルを行います。
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build |
build を行った後、ビルド番号の更新を行います。
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jar |
jar ファイルを作成します。
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javadoc |
ソースファイルから Javadoc を利用して API ドキュメントを作成します。
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dist.unix |
UNIX 用のパッケージファイルを作成します。
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dist.win |
Windows 用のパッケージファイルを作成します。kagetaka.exe.、IEWrapper.dll を事前にビルドしておく必要があります。また、lha, iscc コマンドが必要です。
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dist.src |
ソースのパッケージファイルを作成します。
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dist |
すべてのパッケージファイルを作成します。dist.unix, dist.win, dist.src をすべて実行したのと同等です。パッケージファイルは、out ディレクトリに作成されます。この作成先を変えたい場合は、build.properties に package.dir プロパティでディレクトリを指定する必要があります。
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clean |
コンパイルしたものだけを削除します。jar ファイルなどは削除されません。ソース中の public なフィールドやメソッドを変更した場合は、安全のために、これを実行した後にビルドする必要があります。
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veryclean |
ant によって生成したファイルをすべて削除します。基本的に build, dist ディレクトリを削除します。作成したパッケージファイルは削除されません。
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